敢えて迷う






夜の街を歩くのが好きだ
人っ子一人いないのがいい
窓の明かりも消えがちで
灰でも降った日みたいに
静寂滴る街がいい


どちらを本物と言おうとも
たくさん見えなくなるものがあるでしょう
だからどちらもきっと本物ながら
やはり僕は夜がよい


例えば夜の街を歩くのは
好きな人を裸にする喜びに似ている
アピールに溢れた服を脱いで
そういえば僕達の腹はこんな色をしていたね


どちらを本物と言おうとも
分からないことだらけでしょう
だからどちらもきっと本物ながら
やはり僕は肌がよい


夜の街を辿りながら
君を辿っていくように
坂を下り また昇り
夜の街は迷路なんだ
知って迷い 迷って知る
きりのないこのうろたえと 夜の街が好きなんだ





 
   

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