雨だ 雨
生暖かい水が降る
天の果てから降り積もる








傘を忘れた
電車の中に
だとしても
帰らなきゃ










髪の毛の間から滑り落ちる
ぬるい雨
どろり流れて意地汚い








鍵を落とした
あのへんで
記憶の森に無限の雨
その泡立ちを越して
あの小道へ帰らなきゃ









手がかじかんでいる
爪が青くなっている
同情が買えそうだ 十円玉の










熱を無くした
十五の夏 三日ばしか 熱帯夜
一体 何処に吸い込まれた?








苔むす原初の地下鉄の
赤銅の香りを抜けて
あの血の懐かしいほら穴に
・・・帰らなきゃ






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