デリカットな君








いちいちに細かきことに心を動かして陰鬱になっているわたしに
彼らはわたしが弱いと言ふ
勝利したものの正しい 白い歯の表層を光らせて
彼らはわたしの軟弱をとがめだてする



世界は厳しいのだと大人たちは言い続けた
社会は厳しいのだと今も言い続けている



電車のつりかわ広告に押し広げられた見知らぬをんなの皮膜
彼らはわたしが弱いと言ふ
密接に押し込められながら誰とも愛し合わない満員電車
彼らはわたしが弱いと言ふ



思うがまま夢を追えと大人たちは言った
夢を追わなければならないのだと今も言い続けている



固く閉ざしていた泣きそうになっていたまぶたをようよう開くと
そこは小さな小屋 人々が移動する小屋である
誰がわたしを抱きしめにきてくれるのだろう?
誰がわたしを蹴飛ばして行くのだろう?
関係ないのだと彼らは諭す
自分のことだけ考えればいいのだと





けれどわたしにはわからないのだ
真実が一体どこにあるのか
だからわたしにはわからない
一体何がこんなに悲しいのか
ただわたしは明日もなんとかやり過ごすために
映画を見て涙を流してみたりするのだ
爆発しないように バランスを取っているのだ……



よく考えれば、アホのような努力ではないか?
これが充実した人生なんでゲスか、ダンナ。









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