ここからでてゆく

  ここからでてゆく






  わりばしで、そらをつまむ。
  ぱちんとおとがして、そらがやぶける。
  いっかしょにあなをうがつつもりが、せかいじゅうのそらが
  しわしわのごむふうせんになってしまった。
  なんてこった。そらはふうせんだったのか。
  まくのむこうにのぞくのは、スピーカー。

  そうか、ここから、このくろいあなから、
  あめやかぜや、てんのこえやかみのけいじが
  ここからじんるいのあたまのうえにふりそそいでいたのか。
  ぼくたちは、きゅうたいのちひょうにはりついて
  むげんのうちゅうとつながっているようにおもっていたが、
  かみさまのきんぎょばちのなかから、
  かみさまのすまいをのぞいて、
  ぴかぴかひかるひかりや、またたくてんてんをみ、
  ごかいをしていたらしい。

  スピーカーが、どこへもいくなとなきながら、
  そらからぽたぽたなみだをふらす。
  あめもかぜも、きみのあいがいつもめぐんでいてくれたの。
  たとえかみのめいれいだとしても。

  ぼくはなみだをかみながら、しかし、ここから
  でていこうとおもいながら。
  あいをふりすてて、そんなひつようはないとしりながら。
  かみさまにさからい、かぜにさからって、

  ここからでてゆく。
  ここからでてゆく。






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