午前一時

     
     

 午前一時はまぶたも重い
 そして悩みに頭も晴れぬ


     


 僕は
 愛しているものを
 どうあつかったらいいのか分からない
 雑誌を読むとありとあらゆる
 優しさの技術に溢れているけれど
 僕には依然
 愛しているものを
 どうあつかったらいいのか分からない




 愛していたらその相手を
 抱き締めたくなるだろうと言われるが
 別段 僕はそうではない
 遠くの故郷を愛するように
 そっとそっと周りで見る
 淡泊だねと言われるが
 そうでもない 別物なんだ


     

 この小さな掌が掬えるものはごく僅かで
 僕は多くを見過ごして
 見えたものだけを 自慢する
 忘れられない一人を語る裏には
 九十九人を忘れた厚顔が
 何も出来はしないし 何も知りはしない
 僕はああ ため息が出るほどだ


     
     

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