花列車



窓も彩りて生き生きと
たれもが微笑まずにいられぬ春
桜 桃の木 花水貴 
牡丹 菫に 白卯木 
花を連ねて電車行く


こうも容易く瞼が落ちるのは
多分この春が君の頬に
接吻を繰り返すからなんだらう
勿論君が美しひからこんな事を思い付くんだ
けれども
隣の母子や小父さん迄もが御覧
恋しひ人の胸で眠っているようぢゃないか
接吻にたじろぐ鴎外のいにしへは去ねたよ


誰かが口笛吹いている
瞼に唇寄せながら
桜 桃の木 花水貴 
牡丹 菫に 白卯木 
花を連ねて電車行く








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