■ 月下美人 ■


熟れる紅梅 満月のもと
なよやかなる唐の文人立ちて曰く


汝 善なる道を歩むるか
道は長く報い無し
努 王道を探すことなかれ


汝 皆に幸あれと努めんか
人について謂わるる諸々の噂
心得よ 其はみな偽りなり
唯自らのみ由とすべし


欲に堕し色に溺れるなかれ
よし世の人其れを良しと謂えども
人の道は世の道ならず
いずれを生きるかが汝が器なり


けれども徒に正しきを誇るなかれ
古の覇者 皆其れにより敗す
理は時の流れに弱し
普遍と謂えども皆 無常なり


おのが梅に目を留めたが好機
人は真に脳髄の獣なり
今一考の時 重きにいたせ
我の心より曰くはここまでなり


ああ 汝ついでながら
どうか幾ばくかの水
我が根本にかけ給えんか







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