くしゃみくらい



どこまで生きて
どこで死んでも
この青いらしい星には
なんの関係もない
だれが生きて
だれが泣いても
この時の流れには
なんの支障もない
そして今
自分の命や唇やこの身体が
単なる偶然のたまものなんだと
ただひとつのくしゃみのように
吐き出した後には忘れ去られる
そんな空気のひとにぎりなんだと
よおく笑え
よおく笑え
だれもお前なんぞ愛さないのだから
それは誤解なのだから幸せとは
しからば何故私はここにいるのか
腹を空かせて死ぬ子の代わりに
牛乳を流しに棄てて
何かに理由などあるのか
納得できる偶然 ただそれだけのことだ
わけもなく生きろ
わけもなく食べるように
四肢を投げ出して宇宙に負けろ
路傍の石のように目線を落とせ
両手を広げて顔を覆え
これだけが
お前に与えられた救いの全てだ
悲しいときには獣のように泣くといい
地べたを感じ土をあたためながら
母を思え
存分に報いたか
存分に報いたか?
お前を許す偶然に
膝を落として感謝したか
よおく笑え
よおく笑え
そうしてまた理由もなく
どこへでも行ってしまえ








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