目覚め前




この貧弱な願望が動かなくなる前に
どんな慰めをこの悲しみに与えよう
風の鳴る木立の足下
枯れ葉がどんもりうって踊っていく


このため息すら意識できなくなる前に
どんな寂しさで魂を慣らそう
逞しくならなくてはならないが
殺す鋭利は後ろに置いて


全ての人々がものになる前に
どんな愛情に微笑みを返そうか
誰かの魂に歯形をつけて
香港みたいにここでさよなら


もう二、三枚暦がめくれたら
野獣のように生きねばならぬと人が言う
自分の身を守るため
爪を磨けと声が押す


もう五分・・・
これではまるで目覚め前
あと五分・・・
これではまるで眠りの終わり


この肉体が賃金になる前に
どんな諦めで二十歳を殺そう
今日も陽は落ち時間は過ぎる
嘆くいとまもないほどに
多くの言葉が自分を急かす
けれども心は蒼海の
遠い昔にたゆたっている・・・







戻る