(暗転。
中央に演出家JRの姿が浮かび上がる。役者は普段JRが着ている衣服を着て、眼鏡をかけている)






JR「ファンタジーばやりである。
皆さんお望みで金になるとあってはいつか自分もするかも知れぬ。
 そんなものだ。いつまでたっても仕事はあまり選べない。天から降ってくるか地から湧いてくるか。」




「だが今回は珍しく何もからんでない舞台だ。ほとんどが初めて仕事をする連中で、皆若くて、貧乏人で、全然無名。だからここだけの話、興行成績に気を使う必要もない。
 評論家の先生方も誰一人注目してるってこともないから、プライドをかけてやんなきゃいけない訳でもない。
捨て鉢だ。
…捨て鉢の舞台にようこそ。」





「ともかく、今回は語ってみることにした。何を? 自分を。
かなりあけすけに。
 恥かしい真似だ。
恥かしい舞台にようこそ。」





「…たとえ残りの日で信じられない動員数があったとしても、二度とはやりません。
これっきりの、『JRの最後の物語』にようこそ」




(深々と礼)
(前かがみのまま、手を上げる)






「音楽!」





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