HOUSEKI



砂埃が舞う白日の道を歩いていると
丸い瑪瑙が落ちていました
丸い瑪瑙が落ちていました
私はそれをとても美しいと思ったけれど
拾わずにまた歩いていった
瑪瑙に噛み付かれるのが怖いのです


砂埃が舞う白日の道を歩いていると
血の紅玉が落ちていました
血の紅玉が落ちていました
私はそれをとても美しいと思ったけれど
拾わずにまた歩いていった
紅玉の気が狂うのが怖いのです


砂埃が舞う白日の道を歩いていると
歪んだ真珠が眠っていました
歪んだ真珠が眠っていました
私はそれをとても美しいと思ったけれど
拾わずにまた歩いていった
真珠に嘲笑われるのが怖いのです


砂埃が舞う白日の道を歩いていると
金剛石が刺さっていました
金剛石が刺さっていました
私はそれをとても美しいと思ったけれど
右足を上げて踏みにじった
裏切られるのが怖いのです


地上で最も硬い刃が革底を突き破り
脆弱な皮膚は言うやに及ばず
たらたらと流れるもので地面が赤くなりました
それでもそれを地面の中まで押し込んでしまうと
私はまた陽炎の立つ道を進みます


きっとまた宝石が落ちているでしょう
そして
きっと私は永遠に
それを拾うことが出来ないでしょう








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02/07/27