ワニを抱えて



君の住むアパートは枝分かれして
無限と同じだけの大きさを持っている
そのなかを今日はこっち
明日はあっちと移動するものだから
毎度君に辿り着くのが大変だ…

髪の毛が千回とぐろを巻いたようなあれ
南五番に住んでたのに引っ越したんだね
見当たらない
三番目の部屋にワニがしゃーなんて言うから驚いた
いつからあんなもの飼ってるの?

この廊下かな
この悔悟かな
君を飲み込んでいる部屋があるのは
この扉かな
この朝(あした)かな
それとも冷澁なのかもしれない
君は草臥れたのでいっそ
手の届かないところまで逃げる気なのかもしれない

奥へ行けば行くほどに
恐ろしげな人間が増えたから
だんだんと分かって来た
目からナイフ出したり
口から鞭が出てたり
顎が裂けてたりとまー 魑魅魑魅して(→)





最後の扉があるね
君はそこにいるの?
入ってますか? 
僕は今回も間に合いましたか?
いつもいつも突然に
力一杯の必死さで逃げようとするんだから


悪意や過去のほうが信じられるんだね
痛みや冷たさのほうが嘘じゃないんだろうね


でも出てきてくれないと困る
せっかく久しぶりに会えたのに僕
ワニを抱えて帰るなんてやだな

















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