震える庭


君は全く超人でない――――
僕がそうでないのと同じ様に
地面が揺れても
電話が傲慢でも
一つ一つに丁寧に
冬の震えのように動揺する
そうでなければ
風の日の楠のように動揺する

むかし君を酔わした歌は
もう君の勇気を応援しない
相変わらず子供相手のしのぎをしてるよ
そうでなければクリップで
安直なからみを見せて銭を稼いでいる

君は陽を受け
根から時々悪いものを吸い込み
ほこりを被りながら
本当は誰も知らない一時間後に向かって
心をいっぱいにして生きる
老化へと

いつか僕達も肺炎で死ぬよ
人生に意味なんかないね
ストーリーもありはしないね
ただ震えがある
僕のほうをじっと見て
恨んでいたうさぎのように
同じ生き物だったんだ 時間にはただ
てのひら大の震えがあるばかりだ

僕は君と震え合う庭
鍔迫る肩と肩の間に静電気が起こるとき
次に来る別れを考えてやはり僕は怯むのだが
それでもつないだ手の皮膚の下からは
心を落ち着かせる実に控えめな音楽が聞こえてくる


>> exit >