カーテン 罰は恵まれたものにだけ訪れる 青い部屋にみなぎつた死よりひどい死のにおいはなんだらう 私はカビでなければ虫でもない だのにこういう部屋を作るのが馬鹿げてお上手だ 縦穴のやうにガラリと空いた土曜・日曜を テレビとビールと馴れ合いで埋めるわけにはいかないだらう 仏のやうな手でマツチを擦つて この部屋を焼いて南へ逃げやう 焼いて彼方へ逃げ去らう カーテンに縋りついて ようやくのこと立ち上がつたら 炎の中に重たく眠るあの太陽をみやう 伸びきつた膝に再び力の込める 誰もがしているのに誰も知りはしない これが私の戦争である 仏のような手でマツチを擦つたら この部屋を焼いて南へ逃げやう 一文無しになつて乞食をして暮らさう |