老廃物




押さえると痛いところには
老廃物がたまっているそうです
私なんぞ体中にそういう場所があり
特に目の周りなんか疲労が
もう何十年も居座りつづけていて
鏡を見ても自分の顔だか
疲労の顔だかわからんくらい
身体もうまく動かないのは
必要よりもずっと背が伸びてしまったため
エネルギーは食うし
小回りは利かないし
猫だった頃を懐かしむライオンのように
困り顔してうずくまるのです


こういうふうに
零だった身体に老廃物をためて
重たく重たく重たくしていくのが
生きるということなのでしょう
その上収まりの悪い靴や
皮膚に悪そうな薬や
ワイヤ入の下着なんか着けて
さらにさらに身体をいじめて
泣きながら笑うことが
生きるということなのでしょう


そしていつしか老廃物で身体が覆い尽くされ
生きているか死んでいるかも分からなくなる頃に
私たちはどんな親切な手が自分に触れても
痛くてたまらないと思うようになるのでしょう






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