耳が逃げる



どいつもこいつも
自分より力の劣るものが好きで
他人の失敗が好きで
どうしてそう
弱いものいじめばかりして
嬉しそうに安心して過ごしているのか
敵は君の背面にいて
今も背骨に針をつきたて
刻一刻と毒を流し込んでいるのに
何故
君は通りすがりの
君の問題とは無関係のだれかの失態を笑い
無我夢中で痛みから逃れようとするのか



耳を返してくれないか
君の話で逃げてった
これ以上は沢山だって
僕の代わりに逃げてった
耳を探してくれないか
こんな頭じゃ露骨すぎて
街も歩けやしないじゃないか



耳が逃げた
耳が逃げる
当たり前のことだ
君 きょとんとしてないで
僕の耳を返して
知ってるでしょう
それが出来るのは 君の言葉だけだって
あと一時間ほどある
お願いだから少し美しいことを話して
僕に僕の耳を返して