がらんどぅ




音にならない言葉を
ぶつける場所はないのでしょう
見えない宇宙を
想像することは私には出来ず
聞こえない声を
聞き取ることは人には出来ない



血潮が流れる故に
体内に極小の摩擦が生まれ
積み重なって熱になります
でも満たされているようで
何一つ生きていないような
あそこはまだ空っぽなのです
言葉も夢も生まれていません



何かが始まる前なのです…
それはとても辛いことです
空のこぶしに歯を立てます
自分自身さえ自分が
何を考えているのか未明です
空を飛んでいく黒い鳥は
あれは私の意識です
今の私はがらんどぅです



でも五分待って
十分待って
じきに体に戻ってくるから
涙や悲鳴や笑みになって
この体中に夜露のように宿るから
そうしたら愛していただくから
汽笛の流るる夜更けまで







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