銀ばかり








明けを探して渡り歩く
北の極から南の果てまで
さかしまの海を歩いていく
ざぶざぶと金の波を蹴立てて
私は自身のことすら知らぬ
故に僅かな五感の示すこの狭い世界を
星の海に浸して
研ぎ澄まし研ぎ澄まし成長する
成長し成長し尚成長する
私は私の世界を星で埋め尽くす
毎夜白い瞬きを抱いて就寝する
光の中でふたつの膝頭 引き寄せれば
人の線は透け見えなくなる
額の生え際が沈む頃には早 銀ばかり
瞼の裏には銀ばかり