■■空の飛び方について■





君は眠たげな目でテーブルに泣いて
昔はこんなんじゃなかったと言うが
子どもの頃は何でも出来て
空さえ飛べたと君は言うが
よく思いだして ごまかしはいけないよ
君は本当に空なんか飛んでいたのか



僕等は非力だったろう
小さなウィルスにさえ熱を出して
寝床に縛り付けられていたじゃないか
確かに少し体は大きすぎる
走るときには邪魔になるが
でも前よりもずっと強く
ずっと遠くまで歩けるようになっただろう



ビールの缶を潰しながら
昔は自由だったと君は言うが
それは違う 単に君は
依りかかっていただけだ
僕等は今では独りで立てて
自分の部屋は今度こそ自分のものだ



まだまだ先は長いんだ
僕達はもっと強くなる
今はまだその道の中途に過ぎない
そして人は一生をかけ
空を飛ぶために その日のために
苦を喰らっていくのだろう
何もかもが来るべき
解放のための階段だよ










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