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桃色はよい色です。 柔らかい心地がいたします。 赤ですと和みがございません。 桃色がいいんです。 赤に白を混ぜると桃色になります。 これはたのしい作業です。 そこに情念やら実用やらはいりません。 長いものにはまかれてしまう 鬼の角もまるめられてしまう 人間のだらしーなさそのものに ことのほかやさしい色です。 桃色は はかないものです。 白昼に浮かんで消えるつまらないもの。 お祭りの時だけ食む綿菓子のようなもの。 この名前もつかないもやもやは、 あるいは柔らかいものの とめどない愛撫に似ています。 まじめな方も 大臣せんせいも おえらい法学者様も すべてここではぐにやぐにやのぐによぐによのべしよべしよになって遊びます。 気だるくだらしない時間を過ごしに あたしのお部屋へいらつしゃい。 世界中をまるくまるく まるくまるくまるくまるくしてしまう あなたがいくら怒つたつて桃色は 魔法の色です。
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