夜想曲
夜想曲



くたくたになった喪失の晩
ぼんやり時計を見やれば三時
常ならとっくに眠りの波間


マストが軋み 帆は破れ
漂流しながら待つ暁
隣に近き肉体あれども
それはもっとも疎遠な精神
陽のもとでは間近とおもえど
我と彼とは違うと知れり


独り夜なり 魔法のきかず
心やさしい嘘の浮かばず
まことの実は氷の冷たさ
舌でころがし奥で噛む


独りになった喪失の晩
遠くで母のため息くもる
昔と同じ朝を待ちつつ
童を思う喪失の晩 






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