何も持っていない? 何を言ってる? 君の母親は正真正銘の女だった。
 君とて故意にそれを隠している以上、求められたことが無いとはとても思えないが。











 サラシャと私は同郷の友人だった。私は彼女に骨抜きにされた男がその周りでくるくる回るのを、皮肉に眺めているだけのいい気な立場だった。
 ところがいざ私に縁談が持ち上がると彼女は私を誘惑した。無数の教訓はどうしたやら、かなりあっさり転びかけたよ。ある女が私を物置に監禁したりしなければ、間違いなくやられてたぞ。
 それが今の妻だ。
いや、他人の趣味はほっときなさい……。










 名前? 適当につければいいんじゃないか。思いつかないのか。そうだな……。
 では『ミノス』でどうだ? 神話に出てくる草の名前だ。悪人が食うと毒になり、善人が食うと薬になる。使う人間次第というわけだ。
面白いだろう?――









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