(一本ずつ糸を持った劇団メンバー、絡み合う赤い線の中でそれぞれ演技する。
 JR、ミミは接近して立ったまま。恋人同士であることを意識した動き)




デミトリ「私はすべてを捧げてきた。
嘘じゃない。時間、金、誠意。人生のおよそ十年間を、まるまるお前の舞台のために捧げた。
 知らないとは言わせない。JR。私は皆も…、少なくとも幹部メンバーは皆そうなんだろうと信じていた」



(気が付くと、背後に少女がいる。デミトリは苦渋の表情)



デミトリ「…だが、お前はそうじゃなかった。馬鹿正直に、信じていたのは私だけだったんだ。
 私がお前の言葉を真に受けて、これぞ自分の仕事だ、最高の居場所だと走り回っていた間に、お前はあの娘と出歩いては、不実でずるい内緒の夢を見ていたんだ」



(JR。不可解なほどするりと糸から抜け娘の元へ進もうとする)



デミトリ「(きっとなり)JR! 一人で自由になることはゆるさない!」



(デミトリ。渾身の力で糸を引く。
引き戻されるJR。同時に集団が影響を受け中央に向かって変形する。
 JRの体がデミトリの元へ戻る直前、糸の流れで二人の間にミミの体が滑り込む。
 デミトリの腕の中にミミ。デミトリははっとなり、場が硬直)






デミトリ「JR!!」








次へ >>