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千年孤独
= Epilogue =





 大陸歴一二八三年、グスク襲撃に始まったナルシウス侯事件は侯爵の自殺、同侯爵家の滅亡という形で決着した。
 これ以後トリエントーレにおいて貴族の影響力が低下。代わって経済力を持つ商人、学者、法律家などの政治参加が顕著となり、いくつもの派閥を形成した。


 新しい世代を迎え、混乱しながらも急速に膨張するトリエントーレの宮廷はこれ以後長らくの間、大陸の中で最高の活気を見せることとなる。





 蛇足ながらその宮廷で人々は時々、妻を伴った宰相オッシア・アルアニスのいささか居心地悪げな痩せ姿が、友人達にさんざんからかわれている場面を目にすることがあった。
 ある一人の学者によると、その時の彼の狼狽振りは微笑ましさを通り越し、むしろ気の毒な程であったそうである。



 彼等の婚姻は侯爵の喪が明けて一二八六年の春、首都イリアで行われた。





千年孤独 End


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