・・「明日」のある世界・・






線は空からやって来て
私の前にあるグラスの縁に沿って丸くなり
ある時下に流れてテーブルを横に伝う
そこに何かの刻印が押されている
私は
その刻印が何であるかはっきり教えることが出来ない
けれど齟齬多きを許しても名をつけるのならそれは
「明日」
である




「明日」は

青空に開け放たれた窓のように
拡がっていくものだった
しかし今窓には鍵がかかって
「明日」とは
単なる24時間のことである
その名前が私の今日を気鬱にする
やってくる明日にまつわる労働を思うと
してもいないうちからうんざり
する




今となっては「明日」
解放どころか目を覚ます騒音である
思い出させないで と友も言う
知らない間に足をつかんで寝床に引きずる
「明日」という名の怪物
そして私はラスコルニコフの苛立ちで「生活」を思う
双方とも
その概念が分からなくなれば どれほど気が楽だろう




「明日」について考えることなく
何一つ醗酵させないで過食してきた私にとって
「明日」のある世界とは
永遠に続く 地獄に他ならない







---EOF-









03.12.13
to be continued


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