サダとキチはその昔
とある宿屋に二人で泊まり
性交して食べて性交して食べ
性交しては食べてまた性交して食べた
二晩だったか三晩だったか
そうしてそのうち
サダがキチの首をしめて
（それは犯罪ではなく性行為だったが）
キチ君動かなくなった
サダさん　どうしてかキチ君の性器を切り取って失踪し
二人の関係は行き着くところまで行って否応なく終了




さて　我々だ
朝起きて飯を食い　昼にも飯を食い
夜食った後に性交
なるほどその間に映画なんか見たね
でもあれは虚構　何の力も持っちゃいない
性交して食べて性交して食べ
性交しては食べてまた性交しては食べ
間に小賢しいinterval（中休み)はあれども
結局東京とは巨大な連れ込み宿に過ぎない




そして子供を作る気のない以上
我々の関係もそのうち
行き着くところまで行って終わるだろう
我々は同じことを同じ手順で
ただゆっくりとやっているに過ぎないんだ
サダキチの末路も我々の末路も　いつかはそっくり同じだよ




君　僕の話が分かるんだね
笑ってるね　だから
僕の話が分かるんだね




ただ彼等と我々の違うところは一つ
たといどちらかが相手を殺したとしても
我々どちらともにも「サダキチ二人キリ」とは書けまいね
きっと書くならこう書くよ
「サダキチ一人キリ」




いやあ　お互い
ろくでもない時代に生まれたもんだね
出来れば僕もキチ君として
サダさんである美しい君に
性器を切り取られたかったよ

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