おかあさん、今日私は朝の4時ごろ(多分暑くて)目が覚めました。
外はもう夜明けでした。窓に貼られたフィルタが、青から白、白から
薄黄へと変わっていくのを見ながら、私は今日、世界が滅びるのかも
しれないと思いました。
ねえ、おかあさん。
日々が巡っていくのは何故なのですか。
今週五日はやけに早く過ぎました。私は就職してから日に日に24時間が短くなっていくような気がします。
そして朝、全く同じ時間に部屋を出て、エレベータを待っている時などに
ため息のように思います。
何を生むこともなく、ずっとずっとこのまま本当に続けていくのだろうかと。
無論、「何も生まない」というのには語弊があります。
私の24時間は今や金銭を生んでいるからですが、しかしそれはクーラーを回す
ため、いいスーツを買うため、仕事の疲れをリフレッシュするためではないのですか?
高望みをしろと絶えず言われてきた我々は、「生存」にだけはそんなにストイック
にならなければいけないのでしょうか。
おかあさんあなたには、聡明だったけれど怠け者な処もあって、この手の質問は
避けて通る小賢しさでしたね。私も今更、あなたに人生を決めてもらおうとは
思いません。
だから囁いてください。
今の生活を維持していく、という目的で続けられるこの無限ループに、本当に価値は
あるのでしょうか?
問いつつ私にもこの問いが無意味であることが分かります。
時計の針は力強く、出社時刻が迫りくれば私の頭はもう
手早く準備をすることにしか使用されません。
毎日毎日清潔であるためにシャワーを浴び、
みっともなくならないために産毛をあたり、
職場にいる誰かとセックスしたいな、などと考えつつ、
怠惰な私はやっぱり続けています。
ぼんやりと世界の終わる日のことを考えながら、
毎日忙しく立ち働き、
そして虚しさが一時も頭を去らないほどに、
金以外、何も生んでいません。
おかあさん、ごめんなさい。
私は今日こそは世界が滅ぶといいのにと思います。
午前5時12分 東京にて
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