君たちは花



 ぼくたちは育まれ 
 見頃になると刈り取られ
 少し安いと束で売られ
 少し高いと一人で売られる
 ぼくたちは花
 夏の日軒端でだれている花




 ぼくたちは客を選べない
 時によると「高すぎる」と足を切られ
 「見栄え好くと」手を落とされる
 冷たい水道水に傷口を浸し
 ぼくたちは花
 手足をもがれて黙している花




 ぼくたちは覚えてる
 大地や青空がどんなであったか
 そこにどんな大事なものが息づいていて
 どうやってぼくらを生かしていたのか
 呆然と憧れども 今
 ぼくたちは花
 月曜日の朝にはゴミ袋の底で震えている
 ほこりを被っておとなしき花






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02/04/21