枯渇



五千年の長きを生きる我慄くほどに現世は甘し
絢たる華の流麗に咲くなり その株日毎に増し
汚濁たる空気の好いて揺らめきつつ燃ゆと見る
青き種の散り果てぬうちより朱の花びら開きて
攻めたてたる緋の奔流一時のうたた寝も許さじ




我 草臥れ果てて彼らに一睡の暇を求めれども
声の届かずして無常の天蓋より華の降りつもる
雨のやうに其を散らす手の正体見んとすれども
喉元に花弁の積み重なりて気の道を塞がんとす




世界に是ほどの贅 煮える終生はよもあるまじ
金縁の花園を誇り 深酔う刹那も確かに有れど
暁の来れば我が神の何とのう侘びしき乞食の其
何故やらん凶暴に無闇人を傷つけたく肉を噛み
骨に仕込まれし欲望を鬱憤を晴らさんとすれど





我が五千年の枯渇は一向癒されぬなり








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02/06/04