コントラコスモス -14-
ContraCosmos



 コルタ・ヌォーヴォ。
普段どおり開店して、カウンターで一人薬草を摩り下ろしていると、気配がした。
 顔を向けると、下に通じる階段の入り口に林檎が立っていた。私の寝台を占領しただけあって、もう疲れは取れたらしい。普段はお下げにしてある髪の毛が自由になって肩に掛かっていた。
「帰るのか?」
 と尋ねると首を振る。
「マヒトさんに、いつもの通り店で待っていてくれって言われました」
だそうだ。
「ああそう」
 私はしょぼしょぼする目の下を手の甲でこすり、あくびをかみ殺しながらようやく仕事を再開した。
 もう奴のことは考えまい。
そう決めたのだ。





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