コントラコスモス -23-
ContraCosmos |
私には手があり、足がある。 口があり、喉も健在で、ロゴスもある。 だが私には止めることが出来ない。 他人が私を誤解する。 他人が私を冷笑する。 他人が私に憎悪を抱く。 他人が私を害そうとする。 全ては目配せもなく畳み掛けられ、何一つ止められない。 荒れまくった工房の荷物を片付ける。 これもまたそうで、嵐が吹き荒れている間には何も出来ない。ただ黙って、屈み込むと痛い腹を堪えつつ細々したものを拾い上げるほかない。 そして上からは手持ち無沙汰になったマヒトが断りもなく下りてくる。こいつは毒物師のこだわりなんか一生知らずに過ごすのかもしれない。 私は彼が工房に入ってくるのすら止められない。 彼に回れ右して帰ってもらいたいが、 その力がない。 |