コントラコスモス -31-
ContraCosmos




◆北ヴァンタス王国王都警備隊第二南部隊についての基礎知識
同警備隊は王都防衛をその主要任務とする王立組織である。
隊員数約千。百人単位で大隊に分割され、それをさらに「南・東・西」に分割して小隊単位で活動する。
全員が年一度の一般考査の結果採用され、その九割以上が北ヴァンタス国民且つ庶民階級出身者である。
その存在は地味だが、伝統的に独立的で正義を重んじる気風があり、国王直属の蒼騎士隊や戦時に編成される国軍など、弱者に非道な側面を持つ同国の他の軍組織とは一線を画している。
その為、王都民からの信頼は厚い。







◆調査対象バルトロメオ・リフェンスタイン氏について
同国暦1241年警備隊予備役に入隊。
43年、第二南部隊少尉に昇格。
45年、同中尉に昇格。
48年、異例の抜擢により同隊次長に就任。
50年、第二隊敗退事件の二ヵ月後、本人希望により退役。
そのさらに二ヵ月後、愛人関係にあった人妻と心中事件を起こし、ただ独り生き残る。その後の足取りは不明。
軍人年金の受取は外部口座にて続いているため、他国へ出奔したと考えられる。







◆第二隊敗退事件について
1250年、王都の北約1.5kmの地点に野盗の宿営地が発見され第二南部隊がその討伐の任に当たった。
しかしながら同隊は予想外の敗北を喫し、隊員11名を喪失。
その責任を取って第二部隊長ゲイナー中将は辞任した。
これ以前にもこれ以後にも同隊がこのような失態を演じたことは無く、また存在が報告された野盗の群もその後忽然と姿を消すなど、事実関係が曖昧な部分も多い。
尚、辞任したゲイナー中将の息子も同事件により死亡している。









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