コントラコスモス -39-
ContraCosmos



 荒らされる聖庁内部。未だ狼藉の届かぬ外務院のとある一室から、槍を下げた男が一人、静かに廊下へと現れる。その衣服にも、顔にも、手にも、得物にも、赤い返り血がべっとりと振りかかっていた。
 バルトロメオ・リフェンスタインは血なまぐさい肺の中身を入れ替えるかのように大きくため息をついた。
 一瞬の沈黙の後、再び次の目的へ向かって床を蹴る。あの男が言ったのだ。守りたいものが有るなら、その側へ張り付いておけと。
 十分後、一室を訪れた北ヴァンタスの騎士達は、床に広がった血だまりの中に転がる高僧の身体に接し、互いに顔を見合わせた。




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