コントラコスモス -40-
ContraCosmos


 騎士に命じて教皇と枢機卿を部屋へ撥ね返すと、キサイアスは豪華な客間の椅子に座して部下からの報告を受け始めた。
 その間も文官達の「除去」は続いていたが、もう見る必要もなかった。教皇を屈服させた時点で教皇庁での目的はほとんどが達成されたのであり、彼の注意は早々と撤収へ切り替わっていたのである。
「マチュア公がもう動き始めたか。さすがに信仰心の篤い御仁は違うな。ノップ公は」
「まだ城を出たとの報せはありません。しかし、恐らく夕刻までには出発するのではないかと」
「あまり余裕がないな。さっさとヤライの娘を見つけないと狩の時間がなくなる。天候はこいつらの味方か」
 部下に運ばせた葡萄酒で喉を潤し、別の書類に移りながら言う。
「カイウスに伝えろ。一旦兵を動かした以上、もし娘が出なければ貴様を殺す。頭から熱湯につけて剥いてやるからそう思え」
「はい」





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