コントラコスモス -お笑い犬-
ContraCosmos




 東の空が白くなって世界が色を取り戻し始めた頃、俺はとうとう突き当たったある門の前に立ち止まって呆然とその建物を見上げていた。
 それは全くお笑いだった。だから
「そりゃあないよ……」
と呟いて眉を顰めた。
 その瞬間、散々無茶を強いられた体がとうとう任務を放棄し、「あっ」と思う間、崩れるままに昏倒する。
 倒れる際どこかで額を切ったらしく、目に映った黒い厳かな十字架がじわじわと血に呑まれていった。



-了-







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