何ヲ ヤッテイルンダ
吐いたのはもはや音ではない
アレ そのものだった
それはレバーに似ていた
湯の中で汚らしく
灰色になり
ばら ばら ばらと崩れていく
柔らかでぬるい臓器
嵐だった
感覚の全てが横に引き伸ばされていた
まるで強い風にさらされているかのように
耳はゴウゴウと削られ
鼻には骨と血の香りばかり
肉の破片が 視界を舞い落ちていく
何故 何の理由があって
こんなことが許されたのか
共に戦う味方であったはずの
仲間たち
部下たち
後輩たち
三人を殺し十名に傷を負わせた
そんなもの戦場ではルーキー程度の結果だ
だがその時に目に何かが入って
(多分肝臓の欠片が)
以来犬は 目が悪く
今夜も月が見え ない
-了-
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