ジャン・パチスト
「闇。闇。闇。
骨に染み入るような闇だ。なんとここは暗いのだろう!

 子供の頃、俺は空気のパサパサしたなーんにもない田舎に住んでいた。太陽は340度のホリゾントの東を真っ白にして朝昇り、やがて西を醸して沈んでく。

 風が吹く野っぱらで黙りこくった岩に座って俺は一人夢想にふけった。
 人はまた夜が来たと嘆く。暗くて、寒くて恐ろしいから。

 だが宇宙は、想像できないほど広大で且つ尚広がり続けるというこの空の色は、本来は黒だ。世界は生まれて以来無限に夜を続けてきたのだし、比ぶれば明るい朝こそがごく僅かな異端の時刻なのだ」



(SE:戦闘機の飛行音。
背後が明るくなり、ジャン・バチストはシルエットへ)




「また人は闇が来たと嘆く。闇が全ての本質だなどという気はない。しかしこの世界の時間は誕生以来常に黒かったのであり、またこれから先も暗いだろう。
 朝の後に夜が来るのではない。夜の中に朝があるのだ。」







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