scene 3





 ヤコブはその翌朝、飛行機でカナダへ発った。変なものを撮るので有名な映画監督がそこでホラーの撮影の最中なのだそうだ。
「もしそうしたかったら、時間を作って、日本に帰ってきてもいいよ」
 国際線が並ぶフライトスケジュールのボードに、トーキオ行きがあるのを目にしてヤコブが言ったが、アキは首を振った。
 薄く笑って、そんなことないよ。と断った。
 別れた後思ったのだが、耳に残る彼女の声は時々、天使の歌のようだ。







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