JR
――――みなさん、「シリス」は瓦解したのだ。
「シリス」はもうないのだ。
「シリス」は劇団の名ではない。
心のもちようの名だった。
皆が一つの目標を見据えて、ちょいと脳内麻薬を味わいながら、全力で疾走する。
そういう約束の時間の名だ。
そしてそれは、彼女が(床のミミを指す)さっきのようにして俺に求めた時間とは、まるで違う類のものだった。


――――家族が崩壊したような悲しみだった。
愛していた場所が今はもう、この世にない。
昔はあったが、今はない。
それからあちこちをさすらっている。
もう一度あんな場所を、どこかに作ることができはしないかと思いながら。










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