scene 1





誰もその死体を掘り起こしてはいけません
土の中から現われるのは死体だけではありません
あの時の恐怖 あの時の戦慄 あの時の震え
人から攻撃されて何も感じないのかと彼は言いました
感じないわけがありません 僕は
感じすぎてしまうから扉を閉めておくのです
憎い人間が出来るとすぐに小銃で撃つことを考える
だのに やりきれません
想像の中でとらえる時は確かに敵の顔をしているのに
血みどろで横たわる死体を確認すると父母の顔です
今日はああ やさしいアキの顔をしていた
どうしてなのでしょう
僕の敵意は的に当たったためしがなく
いつまでもいつまでも 殺すほうには立てないのです








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