L'inutile
おおきな犬







 王様が死んで名画座を出、カフェでベルモットを飲んだ後、地下鉄に。
 夜の車両には、色んなものがいる。ナイフ強盗とか、貧乏な人とか、髪に飾りを編みこんでうつろな目をしたアフリカ系の若者。
 今にも破れそうな不穏な気配。それをとどめるために自動小銃を提げて乗ってくる警官。


 全て大事なもののようにヨシプは貼りつける。皮膚中にベタベタと貼りつける。
 そうしてこの世の人間のふりをする。





<< 前 トビラ 次 >>