47.5470のいる風景 注釈







*1 「Like Us」(アルバム「concentrade」収録 / SCME 8801-T5644201)
このトリスト・クレメンティの歌詞は、一部事実に基づいている点で興味深い。エア・シティにおいて5470の主導のもと、人口調整(特に労働人口維持のための人工出産を指す)が行われていることは広く知られている。しかし、その最も核心部分、人工授精作業が未だに人間の手で行われていることは意外と知られていない。
 これは、5470ハードがメインシステムと連絡を取るために間断なく放出する、微量の電磁波が生殖細胞に影響を与える可能性があるという報告がなされた為である。影響のレベルはまだ争われている最中であるが、宗教関係者のロビー活動もあり、「福祉および人道に基づく人口調整法」は特に人工授精作業について「人間の手で行う事が望ましい」と言及している。
 従ってエア・シティでもその部分の作業のみは人間が担当しており、クレメンティが「参加できない」と皮肉るのはそのためである。
 この規則は一見、自然で生命を尊重している印象を与えるのであるが、人間の注意力は曖昧なものであり、施設の壁の中では相当数のミスや事故が発生していると推測される。そのような事故受精卵は、前出の「人口調整法」により適切に処分されている。



R.サトー「5470のいる風景」
ZL出版より抜粋








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